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麻酔科医師の研究日誌

麻酔科医と末梢神経ブロック

超音波装置の技術が進歩し、ペインクリニック領域で行う末梢神経ブロックが超音波ガイド下で行うことが可能となりました。

これによってその適応は拡大し、全身麻酔時の併用というかたちで、超音波ガイド下末梢神経ブロックの汎用性が増してきました。

もちろん急性期鎮痛管理として、非常に有益な方法の1つであると考えられます。


私はほとんど経験のない素人です。



⇓超音波ガイド下大腿神経(右)ブロックです。



末梢神経ブロック、特に超音波ガイド下で行うこの手技は、得意・不得意が際立ってしまう手技の1つです。

各地でハンズオンセミナーなどが実施されており、ある一定の技術に達するまで、麻酔科医1人あたりの症例数というものが重要になると言います。

また、三次元空間を描写してある一点(一面)に達するというこの技術は、苦手な人にはとことん訓練が必要になるそうです。

これは、心臓血管手術麻酔時に行う経食道心エコーの描写技術と似たものがある気がします。あるところまではよく理解できるのだが、ここから先は何度聞かれてもわからない、というポイントがあります。


そしてたとえ習熟度があがっても、少しでも振り先を見失うと、あらゆるマニアックな分野へと進んでいきます。


ここで重要なことは、麻酔法には正解がないということ。

必ずしもすべての技術を修得する必要はないです。
また、麻酔科医全員が、皆が皆できる必要もありません。
施設の状況にもよるでしょう。
受け手の立場となる麻酔科医の集団で、自分しかできない手技を獲得することは非常に危険なことなのです。

患者さんのために行うことが、未来の患者さんを苦しめる結果になることだってあります。


そして、もう一つ重要なこと。
それは、たくさんの麻酔法を習得して、それらはおそらく、利点や欠点が無限にあり、
時と場合を考慮して、かんがえて抜くくクセをつける。

かんがえてかんがえて一番良いと思えるものを常に選択し提供していく準備をしておくこと。


すなわち、ある一定の範囲の平均点までは修得する準備をしておくことが大事なのではないかと思います。




私はほとんどペインクリニック経験のない素人ですが、今は超音波ガイド下末梢神経ブロックを勉強しています。

『本当に吟味された適応』『患者さんのためとなる最適な処置』があると信じています。主治医との連携は言うまでもありません。

日々かんがえるためにも、この手技を勉強します。

手技のための手技にはしたくありません。
そして、独りよがりの手技にならないよう、みんなで勉強していく準備を進めています。

そう思えば、硬膜外麻酔法がすべて麻酔科医のスタンダードになっているという事実は、とてもすごいことだと思うのです。


術後の一晩を、無痛で過ぎすことができます。
手術麻酔を担当し、患者さんにも執刀医にも感謝されることは、麻酔科医として本当に尊いことです。