サッカーで結果を出すには、オンとオフの切り替えが重要。だから、オフの日には、サッカー関係の人には絶対に会わない。
(なでしこジャパン 澤穂希)
全く同感です。
さて、医師の仕事術ではどうでしょうか。
麻酔科・集中治療の現場では、オンオフがはっきりしていることが、その特徴でもあります。しかし、おしなべて日本流の医療全体を見た時、必ずしも上手くは行かないのが現状です。
というか、オフがあまりない…。うちへ帰ってもコール鳴りっぱなし。そりゃ、疲弊しますよね。
●集中治療室のオン・オフ
先に紹介したとおり、集中治療室はオンオフがはっきりしています。
24時間体制で勤務に当たり、仮眠はするものの24時間働きっぱなしのこともザラです。誰かが張り付かないと行けませんから、その割り振り・勤務体制は厳重なものとなります。
救急領域なんかもそうですよね。おそらく、欧米の医療では基本的なことです。
と同時に、勤務が終了し、うまくバトンリレーが出来れば、帰宅し呼び出されることはまずありません。
土日も担当でなければ、必ずしも出勤する必要はなくなります。
しかし医療現場でありますので、絶対ということはありません。ある程度の責任者であれば、現場のイベントによっては出勤して対応しなければならないこともあります。
また勉強したい研修医や、若手の医師なんかも必死に遅くまで残ったり、休日出勤で顔を出したります(人それぞれですが、ある意味オフを上手く利用することもできると言えます)。先輩の治療の様子を盗み見に来ることだってあります。
いつも見ている患者さんなので、若いうちにどれだけ患者さんと接する時間を確保できるか、これが医師としての責任を養ういいチャンスであり、しっかりした部署ではしっかりした先輩がお手本として自然と教えれくれていることでしょう。
●一歩進んだオンオフの概念
現場を離れた医師の仕事としては、患者診察の合間をみての研究であったり、実験をしたり、データや文献を整理したり。
または学会発表や、依頼された講演。学生教育やコメディカルヘのレクチャーなどもあります。そして全てに準備が必要です。
幹部職であれば、各スタッフの業務の調整などに時間を費やします。
これに対してオンオフが上手く調整できるか、というのも課題となってきます。
私はどうかといいますと、
鞄の中は書類・荷物でいっぱい。勤務を終えれば真っ直ぐ帰宅しますが、お世辞にもオンオフをはっきりさせているとは言えません。
患者診療のオンオフはしっかりしている反面、上記の事務仕事を多く抱え、日々翻弄しています。
24時間仕事全体のことを考え(ちょっと言い過ぎか)、その中で患者診察のところをオンオフして他の業務をこなすといった感じです。
●ビジネスマン、帰宅後は何しているのか
海外のビジネスマンは6時には仕事を切り上げて荷物をまとめ、7時を過ぎる頃にはオフィスは消灯すると聞きます。
またイタリア人は、夕食は家族と食べるのが当たり前だといいます。
そんな海外のエリートビジネスマンも、実は自宅にもオフィススペースを構えていて、家族が就眠した後や朝一の時間を使って仕事をこなしています。
そのようなオンオフがあれば時間を趣味などにも使うことができます。
なので、私自身がやろうとしていることもあながち矛盾しているとは考えていません。
クラウドコンピューティング全盛の今、どこでも仕事が出来るというのは強みでもあります。
iPhone、iPad、クラウド、駆使しています。
当然、その中で考えるオンオフの切り替えって、重要になってきます。
●医療現場のオンオフ
医療現場は通常のビジネスマンのようには行きません。やはり簡単にはオンオフができません。
少なくとも常に仕事のことを考えて置かなければ、いざオンになった時の対応が非常に遅れてしまいます。
もう一度考え直してみました。
仕事とプライベートを完全にオンオフするのではなく、あくまでオンとオフの切り替えの良さが重要なのだと考えることにしました。
オフに患者診察を拒否することに固執すると、患者さんにとって無責任な医師になってしまいます。
オフの時でも緊急呼び出しがかかれば、1秒でオンになる。
そのくらいの切り替えの良さが、結果を出すには必要ですね。
これだと、つじつまが合いました。
●これから・・・
実際は、オフの日には呼び出しが無いに越したことはありません。
それで上手く回るシステムになるには、かなりの労力と時間を要します。
我々の施設は人を充実させることで、そのようなシステムになりつつあります。当然、限られたメンバーで業務を回せるような教育システムも確立しつつあります。
これからは、そういう余裕を持ちあわせてなければ人も集まらないと思います。
このオフを利用しては執筆に励む自分の姿の、オンへの切り替えの悪さも如何なものだと思いますが、結果を残せていけるように頑張る所存です・・・。