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麻酔科医師の研究日誌

『身体抑制ならびに行動制限』

ICUでは患者入室時(大概が気管挿管され鎮静されている)に、主治医から、そして我々ICUスタッフから、ご家族へまず説明を行う。

ICUスタッフもムンテラに関わること、これはクローズドICUを成り立たせるための基本中の基本と我々は考える。むしろメインで説明する。

その時にまず話すのが『身体抑制ならびに行動制限』に関する説明。もちろん同意書というかたちで取得する。

要するに患者さん管理のために手足を縛り付ける処置を行わせてくださいというもの。しかしその裏にある大事なことは、まずはっきりとこのICUという場では私たちインテンシヴィストが責任持って管理していますとの紹介と、患者のキーパーソンの確認。

『抑制』をしてまで患者さんの命を預からせてもらっています、との理由付け。

ご家族の方々は色々と関心を持たれるかもしれませんが、その瞬間から翌日、翌々日へと一日一回我々ICUスタッフが日々の状態を家族へ説明し、そして家族も耳を傾ける。新しい処置に関しても説明する。

主治医を飛び越して患者家族へ堂々と説明を行う。何も見くびることはない。これがICUでのスムーズかつ良好な医師-患者-患者家族を保つ秘訣であると考える。その分、責任は重くなるが当然である。

クローズドICUを成り立たせるシステムとしても当たり前である。患者家族には今ひとつ理解しがたいかもしれないが、『抑制同意書』は関係各位、患者家族と共に始まる過酷ではあるが、確実で漸進な集中治療の始まりに過ぎない。