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麻酔科医師の研究日誌

平成22年度改訂版 医学教育モデル・コアカリキュラム

厚労省より定期的に医学教育に関する指針が発信されています。ご存知でしょうか。


その中から、最も基本的な理念であります『医師として求められる基本的な素質』がカリキュラムの冒頭に示されています。


○ 医師として求められる基本的な資質

(医師としての職責)
・ 豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識を有し、人の命と健康を守る医師としての職責を自覚する。
(患者中心の視点)
・ 患者及びその家族の秘密を守り、医師の義務や医療倫理を遵守するとともに、患者の安全を最優先し、常に患者中心の立場に立つ。
(コミュニケーション能力)
・ 医療内容を分かりやすく説明するなど、患者やその家族との対話を通じて、良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を有する。
(チーム医療)
・ 医療チームの構成員として、相互の尊重のもとに適切な行動をとるとともに、後輩等に対する指導を行う。
(総合的診療能力)
・ 統合された知識、技能、態度に基づき、全身を総合的に診療するための実践的能力を有する。
(地域医療)
・ 医療を巡る社会経済的動向を把握し、地域医療の向上に貢献するとともに、地域の保健・医療・福祉・介護および行政等と連携協力する。
(医学研究への志向)
・ 医学・医療の進歩と改善に資するために研究を遂行する意欲と基礎的素養を有する。
(自己研鑽)
・ 男女を問わずキャリアを継続させて、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。


非常に良い文面です。これを利用しない(参考にしない)手はありません。今年度の目標(抱負)のところで、医学教育に関して、自施設(ICU)でのオリジナルの教育指針について何かひとつクリエイトする、ということを提示しました。


今、ICUでの医学教育に関して考えていることは、

ICU専門医取得プログラム:私が通ってきた道、先輩方が通ってきた道の復習です。専門医取得は目標のひとつであり、臨床力を養い蓄える過程と手段であると考えます。
②学生教育指針:非常に限られた時間の学生実習の中で、今できていること、やっておきたいこと、今後やれることを教える側と習う側から同時にアプローチします。目標は医者となってからICUに足を運びたくなるようなイメージを持ってもらうことでしょうか。
③研修医教育指針:研修医は現在、1週間から数か月のタームでローテーションしてきます。もちろん将来、我らチームの一員となる前提でローテするか否かで、かなり対応が変わってしまいますが、『ここに参加すれば、このような医者になれる!』といった、強いインパクトが必要です。
④その他、コメディカル、患者家族教育など。最弱者である患者さんを守るためのシステムつくりを幅広く考えているところです。


今回のコアカリキュラムでは卒前・卒後研修教育の連続性が強調されています。これらを用いて、まずは自分の畑である集中治療室から、医学教育という隅までなかなか手の届かない分野に教科書を作ってみたいと考えています。