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麻酔科医師の研究日誌

第1回 福岡・佐賀・大分プレセデックス座談会 博多都ホテル

1/29 15:00〜
第1回 福岡・佐賀・大分プレセデックス座談会。
一般演題『長期使用適応拡大後のプレセデックス使用症例の検討』
みなさまどうもありがとうございました。

【背景】α2受容体アゴニストであるプレセデックス®は、2004年5月に本邦で発売開始となりこれまでにも多く臨床使用されてきた。効能・効果は『集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静』であり、2010年8月より24時間以上の投与が可能となった。
【目的】長期使用適応拡大に伴いさらなる有効性が期待される反面、その臨床的評価の必要性も生じた。今後の臨床的課題を模索するために、適応拡大後の使用調査を後ろ向きに施行した。
【方法】プレセデックス®使用症例を抽出して以下の項目を検討した。
【調査検討項目】
1.患者特性(年齢、性別、身長、体重、診療科、手術の有無)
2.人工呼吸管理の有無、人工呼吸管理日数、ICU滞在日数
3.プレセデックス®投与速度(開始速度、最小速度、最大速度)
4.プレセデックス®投与期間
5.併用する持続鎮静薬の有無
6.投与開始時の併用薬の有無(第1選択薬剤であったか否か)
7.合併症、副作用

【結果】
1.使用症例数17名
年齢56(±1.4)歳
男/女 11/6
身長162.5(±7.1)cm
体重56.7(±5.7)kg
診療科 心外5、脳外3、救命3、消外2、耳鼻2、呼内2
手術有/無 11/6
2.人工呼吸器有/無 14(NPPV 1名)/3
人工呼吸管理日数 5.4(±5.7)日
ICU滞在日数 6.9(±8.5)日
3.開始速度 0.36(±0.05)μg/kg/hr
最小速度 0.25(±0.02)μg/kg/hr
最大速度 0.53(±015)μg/kg/hr
4.投与期間 33.9(±40.3)時間
5.併用薬剤有/無 16/1 (ミダゾラム5例、プロポフォール16例)
6.投与開始時の併用薬有/無 4/13 (4例で第1選択薬剤として開始した)
7.特記すべき合併症、副作用はなし
【考察】
1.安全性、症例実績
各科各症例で安全に使用可能。過去の報告からも、24時間を超えても極めて使用しやすい薬剤であった。
最長投与は70時間(慢性膵炎敗血症患者:プロポフォールミダゾラム併用;ICU滞在日数15日)。
2.投与速度に関して
適応内での使用を順守(0.2〜0.7μg/kg/hr)。投与開始時にローディングを行ったものはなかった。血中濃度の立ち上がりが遅い可能性がある。
3.併用薬に関して
単剤で鎮静継続可能であったのは1例(間質性肺炎急性増悪:NPPV1日;ICU滞在日数3日)。
併用例では全例プロポフォールを投与していた。
4例で第1選択薬として投与開始したが、うち3例でプロポフォールの併用が必要であった。
プレセデックス®は単剤では使用しにくい。相対的に投与量が少ない可能性がある(副作用との兼ね合い)。
4.今後の課題
鎮静評価の問題、鎮静プロトコールの確立、各種臓器に与える影響の検討など。

プレセデックス…ICUの鎮静法に根本的な変化をもたらします。そのためにも新たな課題の克服は絶対です。

博多の夜町に雪がちらつき、今週末の寒波を肌身で感じました。夜は博多水炊きで体を温め、ホテルに戻って本日の復習。なんでも24時間の適応拡大は日本が世界に先駆けてのことであったと。そこの意義を見出しつつ、次なる有用性を探ります。患者さんにとって有益であることの再確認を常に行いながら。