ICUでの鎮静・鎮痛の管理
研修医対象でICUでの鎮静管理に関し、スライドを用いてミニレクチャーを行いました。
①管理の目的・目標
ICU患者;睡眠、疲労、見当識障害、せん妄、頻脈、高血圧、心筋酸素消費量増大、呼吸障害、過凝固、免疫能抑制、創傷治癒の遷延⇒スコアリングによる評価と適切な鎮痛・鎮静
②薬剤の選択
③興奮患者の評価
患者の状態を把握 ⇒疼痛の評価・・・鎮痛薬投与 ⇒不安の評価・・・鎮静薬投与 ⇒せん妄/興奮の評価・・・抗精神病薬
④鎮静の評価方法
Ramsey scale、RASS(Richmond agitation-sedation scale)
⑤せん妄
失見当識、幻覚(特に幻視)、睡眠・覚醒周期の障害、感情の障害を特徴とする認知機能障害。急速発現し症状が時間単位で動揺する。一過性。
【原因、素因】年齢、認知症、手術、薬剤、既往歴、カテーテル、ICU滞在
【せん妄評価法】CAM-ICU(昏睡では評価不能)、RASS+3以上で評価を行う
【せん妄の型】活動興奮型、活動低下型(傾眠が特徴、頻度高い)、混合型
⑥鎮静ガイドライン
日本呼吸療法医学会:人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン.人工呼吸,24(2):146‐167,2007 『鎮静の目的は患者の苦痛をとり、快適さを確保することであって、いかに眠らせるかではない』
自発呼吸を残す(深鎮静を避ける)
安全確保を行う(浅鎮静を避ける)
⑦その他
鎮痛・鎮静メニュー、日内変動をつける・・・薬剤の中止や減量で一日一回は覚ます、鎮静のリスクも常に考慮しておく、バイタルサインを常に意識する、サイエンスとしてエビデンスに乏しい分野
まずはじめに研修医の先生にICUで使用する鎮静剤、鎮痛剤に関して、それぞれの特徴、用法、効能、適応、半減期、代謝、等々を調べてきていただきました。レクチャーの内容は主に鎮静剤の投与方法についてでしたが、医員の先生方にも参加頂いて活発な議論ができました。私も今回再確認の意で勉強になりました。