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麻酔科医師の研究日誌

「働く君に贈る25の言葉」(佐々木常夫、著)

働く君に贈る25の言葉

働く君に贈る25の言葉

久々に、ガッツリ系の『仕事術』『ビジネス』『自己啓発』本を手に取りました。

前書に続くビジネスマンへの指南の書です。
非常にシンプルにわかりやすい内容で、サクっと読了しました(★★★★★)。

佐々木常夫さんの著書は通読3冊目です。

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

そうか、君は課長になったのか。

そうか、君は課長になったのか。


さてこれを、通常のビジネスとは一角を置いた、医療現場に照らし合わせてみました。



●医療はビジネスなのか
まずは、医療はビジネスなのか、ということについて考えます。
結論から申しまして、やっぱり医療は医療です。『医療』というカテゴリーは、他の『商業』を中心としたビジネス分野とは、やはり切り離して考えるべきです。

一部、医療をビジネス化した思想に基づき考える部分もあります。これはこれで否定しません。コスト削減や、顧客の接遇、当然ビジネスに重なる部分が多くあり、また経営という面から見ても、ビジネスとして成り立たなければ救える患者も救えなくなります。

また、病院経営陣と言われる方々も存在します。

なので、ビジネスの要素を持った部分も大きい、特殊な産業である『医療』と考えたいと思います。

そういう意味では、たくさんのビジネス本を通読してきた私ですが、日々の仕事に即座に役立てれそうなこの本は良本で、非常にためになると感じました。

しかし、『商売』ではなく、医療の『患者の健康と利益を第一に』という前提は、やはり非常な特殊な部門であることを物語っています。必ずしも全てがビジネス観念に通じるとは限らないと思いました。



●仕事の要領について
本書を読むと、非常に手短かに要領よく仕事をこなしなさいと、言われているような気がします。実際に、現場では大事なことであります。

しかし、最初の3年ほどは、とにかくガムシャラに、寝る間も惜しんで、嫌な上司の進言も飲み込んで、とも書かれてありました。

この部分にはとても感銘を受けました。絶対的な経験が足りないと、来たるべきチャンスが到来した特に、何もアイデアは生まれません。

私みたいに、職が10年目ともなると、何か働き方を考えていかなければ、次に進まない時もあります。しかし若いうちから要領ばかり追い求めるのもどうかと思います。
新入社員がいきなり『ワーク・ライフ・バランス』っておかしいですよネ。

この3年目まではガムシャラにっていうところを、特に新人社会人の方には読んでいただきたいなと思いました。

下地ができてこその要領です。

私も3年くらいのところは、ガムシャラでした。
大変と思う方を進んで選択していました。『楽な方』と『大変な方』、選択肢があるとすれば、『大変な方』でした。『大変な方』は、選択した時点で成功であり、結果となるのです。同期の中で、一つ抜きん出るためにも必死でした。

今でもこの気持ちは忘れていません。



●雑務の塊
佐々木氏は仕事は雑務の塊だと仰っていました。
ここだけは医療人として『はてな?』なところでした。

職種の違いもあるのかもしれません。

仕事はその殆どが人から与えられるものであり、主に上司⇒部下とのやり取りです。本当に個人でやりたい仕事とは、組織の中では、残念ながら得てして評価されるものではありません。

さて雑務についてですが、私はほとんどの(主に上司から割り振られている)業務に関して、雑務とは考えていません。

唯一雑務と言えるならば、仕事を割り振る上司が、その仕事を雑務と考えている時のみです。この気持ちは部下に伝染します。この職場環境は非常にまずいものです。

雑務と思える業務も、人を変え、立場を変えて考えれば、りっぱな業務です。雑務にしない心がけが重要です。

特に医療においては、『その雑務と思われるもの』を、すべて『患者さんのため』にと繋げることが出来れば、例えば採血検体を検査室に運ぶことや、緊急薬剤を薬局に取りに行く、ゴミを集めて職場環境をよくすることなど、全てが立派な目的を持った業務になると思います。

上司も仕事を割り振ることで、部下の裁量を見極めることができます。
雑務を雑務にしないパワーがあれば、その部下は非常に素晴らしいです。

仕事を与える上司と、それを任せられる部下の考え方次第なのですね。



●失敗を活かす
失敗を活かすことが出来れば、一人前だといいます。
医療現場は中々失敗が許されない現場です。

だからこそ若い新人のうちから小さい失敗を経験し、その対処を学んでいくのです。

良い責任者のいる部署は大丈夫です。
新人の失敗は、上司から見れば小さな失敗であることが多いです。

しかし小さな失敗を恐れてチャレンジを続けなければ、大きなチャンスも巡ってきません。すなわち、難しい病気を治すことはできません。

是非とも、失敗を知りとは言いませんが、チャレンジをしていただきたいと思います。

人と人が集う社会として、ビジネスの現場と通じるものがあると思いました。



今回は書評をしながら、時間をかけて語ってみました。
恥ずかしくなるくらい熱いメッセージを込めています。
そして現在、業務の半分位を後輩指導に費やしている立場であることに気付きました。

また良本をみつけたら、紹介したいと思います。