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麻酔科医師の研究日誌

成人重症患者の栄養療法ガイドライン(2009 SCCM / A.S.P.E.N)‐②

前回アップしたガイドラインに照らし合わせて、自施設を振り返ってみました。せっかく勉強したので、フィードバックまで、大事ですよね。




〔経腸栄養の開始〕
-栄養療法が必要な重症患者においては、静脈栄養(PN)より経腸栄養が望ましい。 【Grade B】

⇒経腸栄養はかなりと言っていいほど積極的に行っています。





-ICU患者において経腸栄養を開始する際は、腸蠕動音や放屁、便通の有無の確認を必要としない。 【Grade B】

⇒ これ「腸の動き」はよく看護師さんは確認を取ってくれているのですが、伝統的に腸蠕動音は記録までしていますね…。しかし、経腸栄養の開始を遅らせることはないように思います。





〔経腸栄養に対する適切な認容性モニタリング〕
-胃内残留物が500mL未満で、他に経腸栄養が困難な理由がなければ、経腸栄養を中断しない。 【Grade B】

⇒胃管残量はタイミングにもよると思います。積極的に腸を使いたいときは残量を無視して進めますし、抜管直前であれば思いきって無理をせずに経腸は中止します。また、夜間か日中かでも異なる。担当医師、担当看護師によっても別れるのではないでしょうか。当施設は24時間クローズとシステムなのである程度は当直体制にもゆだねられています。でも、そのためのガイドラインでもあるのですけどね。




〔経腸栄養剤の選択〕
-免疫調整経腸栄養剤(アルギニン、グルタミン、核酸、ω-3系不飽和脂肪酸、抗酸化物質を添加した製剤)は、以下の適切な患者群に使用する。
  ・待機的手術
  ・外傷
  ・熱傷
  ・頭頚部がん
  ・重症の人工呼吸器装着患者
なお、重症敗血症に使用する場合は危険な場合があるので注意しなければならない。

外科系ICU患者への推奨度:【Grade A】
内科系ICU患者への推奨度:【Grade B】

-免疫調整経腸栄養剤の適応を満たさないICU患者群では、標準の栄養剤を使用する。 【Grade B】

-ARDS(急性呼吸窮迫症候群)やALI(急性肺障害)の患者に、抗炎症脂質(ω-3魚油、ボラージ油)や抗酸化作用を有する経腸栄養剤を投与する。 【Grade A】




⇒経腸栄養剤の選択に関しては概ねガイドラインに即していると思います、毎日のカンファで慎重に検討される事項です。





〔補助療法〕
-特殊栄養療法を受けているすべての重症患者においては、抗酸化ビタミンと微量元素(特にセレン)を併用投与する。 【Grade B】

-熱傷、外傷およびICU患者においては、経腸栄養剤にグルタミンが含まれていない場合、グルタミンを加えることを考慮する。 【Grade B】


⇒新しい経腸栄養剤にはこの辺がちゃんと加味されているようですね。最新の知見にはまだ疎いのが正直なところです。



〔急性膵炎〕
-軽症から中等症の急性膵炎患者に対しては、予期しない合併症が発症するか、7日以内に経口摂取を開始できない場合を除き、栄養療法は必要ない。 【Grade B】


⇒急性膵炎は時折診察します。しかも超重症が多く、十二指腸チューブを挿入して積極的な経腸栄養を試みています。軽症に関しては病棟で消化器内科医によって診療されているようです。





以上、新しいことも含め、栄養アセスメント行いました。是非、現場のみんなともう一度でディスカッションしたいと思いました。



我が施設は経腸栄養と腸蠕動が大好きです。