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ペインクリニック・麻酔科医師の朝のつぶやき

腰部硬膜外ブロックの効果と役割/開院日の診療後からのブログ報告

―海外の医学研究からわかることと、当院での治療方針―

 

開院しました!

本日2025年11月25日9:00、予約患者さん第1号の方の受付とともに、新しいクリニックでの診療が開始となりました。麻酔科ペインクリニックの特色であるインターベンショナル治療のひとつ、(腰部)硬膜外ブロックについて解説します。

 

 

1. 腰痛や足のしびれは「神経の炎症」が原因になることがある

腰の痛みや足のしびれは、生活を大きく制限してしまうつらい症状です。

その原因の多くは、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・椎間板の変性などにより、神経の近くに“炎症”や“圧迫”が生じることです。

 

薬物療法やリハビリで良くなる方も多い一方、

「痛みが残り続けてしまう人」

「日常生活に支障が出てしまう人」

も決して少なくありません。

 

このようなケースで選択肢となる治療のひとつが、**腰部硬膜外ブロック(インターラミナール硬膜外注射)**です。

 

 

 

 

2. 海外研究が示す「腰部硬膜外ブロック」の効果

2012年に米国の痛み専門誌 Pain Physician に掲載された大規模レビューでは、腰部硬膜外ブロックがどのような病気にどれほど効果があるのか が詳しくまとめられています。

https://www.painphysicianjournal.com/current/pdf?article=MTcyMw%3D%3D&journal=69

結論は次のとおりです。

 

椎間板ヘルニアによる「神経根症」

→ 効果は“良い(Good)”と評価

局所麻酔薬にステロイドを加えた場合、とくに改善がみられやすいことが確認されています。

 

●脊柱管狭窄症

→ “まずまず(Fair)”の効果

痛みや歩行時のしびれが軽くなる人がいますが、個人差が大きい領域とされています。

 

●椎間板の変性による慢性腰痛(非ヘルニア)

→ “まずまず(Fair)”の効果

一定の改善がみられる場合があります。

 

さらに重要なのは、

レントゲン透視で位置を確認しながら行うと、効果が高まりやすい

という点です。盲目的手技では薬液が目的の場所へ正確に届かず、効果がばらつくことが指摘されています。

 

 

 

3. どのように痛みを和らげるのか ― “炎症をしずめる”という役割

腰部硬膜外ブロックでは、神経の近くへ 局所麻酔薬 と 少量のステロイド薬 を届けます。

  • 神経周囲の炎症がおさまる
  • 過敏になった神経の興奮が落ち着く
  • 痛みの信号の伝わりを弱める

といった作用により、痛みが和らぐ・しびれが軽くなると考えられています。

効果の現れ方や持続期間には個人差がありますが、

坐骨神経痛が軽くなって歩ける距離が伸びた」

「痛み止めの量が減った」

などの改善を実感する方も多くいらっしゃいます。

 

4. 当院での施行方法と患者さんへのメッセージ

当院では、ブロック注射を レントゲン透視下で位置を確認しながら 行い、薬液が確実に神経の周囲へ届くようにしています。

治療時間は10~15分ほど。横向きに寝ていただき、痛みが強くならないようコミュニケーションを取りながら慎重に進めます。

 

重篤な副作用はまれですが、

・注射部の痛み

・足のだるさ

・血圧の変動

などが一時的に出ることがあります。当院では感染対策や安全管理にも十分に配慮して施行しています。

 

 

 

◆最後に

腰痛や神経痛は、「年齢のせい」と片付けられがちですが、適切な治療を行うことで改善が期待できることが多くあります。

腰部硬膜外ブロックは、薬だけでは届きにくい“神経の炎症”に直接アプローチできる治療です。

 

症状や生活背景をふまえて、無理のない治療プランを一緒に考えていきます。また、同じ神経ブロックでも、個々人に合わせて種々のブロック手法が存在します。症状にあったご負担にならない治療法をともに考えてききますので、ご不安なことはいつでもお気軽にご相談ください。