医師会からの相談
先日、医師会から「休日・夜間当番医をお願いできないか」というご相談をいただきました。
当初、ペインクリニックは専門外来であり、急病や一次救急の対応とは性質が異なるため、正直に言えば難しいのではないかと考えていました。
しかし、医師会として、そして地域医療の現場として「ぜひ受けてほしい」というお声をいただき、最終的にお引き受けすることにしました。
麻酔科としての強みを地域へ
麻酔科は、手術室や集中治療室で全身管理を担う診療科です。呼吸・循環・代謝といった身体の根幹を支える機能を、総合的に診ていく力があります。
その意味では、一次救急の外来に対応することも十分に可能です。
「ペインクリニック専門医だから救急は見ない」という枠を超え、麻酔科医としての基礎力を地域のために活かす――そのことが、医師会の要請に応える形であり、また自分自身にとっても大きな意義を感じています。
現実的な課題と向き合いながら
もちろん、課題は少なくありません。
私自身が外来診療を担当するのは構いませんが、休日・夜間の診療体制を整えるには、スタッフや設備の準備が不可欠です。
看護師の確保、検査・処置の体制、救急対応に必要な備品の整備など、クリニックとして整えていくべき項目は多岐にわたります。
一歩ずつ現実的に、無理のない範囲で進めていきたいと考えています。
再びプライマリケアの現場へ
今回の依頼を通じて、自分の中に新しい気づきもありました。
それは、「もう一度、プライマリケアに携わりたい」という思いです。
ペインクリニックの専門性を持ちながらも、私が医師なりたてのとき、地域の病院の『当直』という業務を通じて、風邪や発熱、腹痛など、日常的な体調不良を抱えた患者さんに向き合うことことがありました。これらは忘れもしない医師としての原点です。
地域に暮らす人々の健康を、より身近な視点から支えていく。
その延長線上には、将来的に私が取り組みたいと考えている「訪問診療」への道も見えてきます。
痛みの治療から、暮らしを支える医療へ
ペインクリニックの専門医療と、プライマリケアや地域医療は、決して相反するものではありません。
むしろ、痛みの治療を通じて患者さんの生活に寄り添う姿勢は、そのまま在宅医療や訪問診療にもつながるものだと思います。
「痛みを診る」ことから、「暮らしを支える医療」へ。
今回の休日・夜間当番医への参加は、その第一歩になるのかもしれません。
地域の一員としての責任
医師会をはじめ、地域で支え合う医療の一員として、求められる役割にしっかりと応えていきたいと思います。
そして、おおいたペインクリニックが、地域の医療の中で小さくても確かな存在感を持てるよう、日々の診療を大切に積み重ねていきます。
