「ペインクリニック」という言葉を聞いたことはありますか？
まだあまり馴染みがないかもしれませんが、ペインクリニックとは“痛みの専門外来”のことです。肩こりや腰痛、神経痛、帯状疱疹後の痛み、手術後のしびれや痛み、がんに伴う痛みなど、さまざまな「痛み」を対象にしています。
整形外科や神経内科などでは、痛みの「原因となる病気」を治療しますが、ペインクリニックでは痛みそのものを和らげることを目的としています。原因がすぐにわからない慢性的な痛みや、長く続く神経の痛みなどに対して、注射（神経ブロック）や薬物療法、リハビリ的アプローチなどを組み合わせて治療します。
さて、そんなペインクリニックには「ペインクリニック内科」「ペインクリニック外科」「麻酔科」といった診療科名の違いがあります。これが少しややこしいところで、「ペインクリニック内科と書いてあるなら、風邪や高血圧も診てもらえるの？」と勘違いされる方もいらっしゃいます。
実は、「ペインクリニック内科」「ペインクリニック外科」というのは、内容の違いではなく、開設した医師の出身科や届け出上の名称の違いにすぎません。
どちらも“痛みの専門外来”であり、扱う症状や治療内容はほとんど同じです。
ペインクリニック内科：薬の調整や神経ブロック注射などを中心に、全身の痛みを総合的に診る。
ペインクリニック外科：同じく神経ブロックなどを行うが、より手技中心の治療スタイルをとることが多い。
どちらも、いわゆる一般の「内科（風邪・生活習慣病）」や「外科（手術）」とは異なり、痛みを専門的に扱う診療科です。
そして、これらの診療科のベースとなっているのが「麻酔科」です。
手術のときに痛みを抑える“麻酔”の専門家が、手術以外の痛みに対してもその技術を応用し、神経ブロックや薬、心理的ケアなどを組み合わせて痛みをコントロールする。それが、ペインクリニックの原点です。
ペインクリニックは、単に痛みを取る場所ではありません。
長く続く痛みによって「眠れない」「動けない」「気持ちが落ち込む」といった生活の質（QOL）の低下を防ぎ、その人らしい日常を取り戻すための医療です。
「どこに行っても痛みが良くならない」「検査では異常がないと言われたけれどつらい」──そんなときこそ、ペインクリニックを思い出してください。
あなたの痛みには、きっと理由があります。ペインクリニック診療ではその痛みに向き合い、あなたの“暮らしを取り戻す”お手伝いをすることができるでしょう。
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