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ペインクリニック・麻酔科医師の朝のつぶやき

麻酔記録は「記録」から「資源」へ ― 第21回麻酔科学サマーセミナー(2025)での気づき ―

昨日から「第21回麻酔科学サマーセミナー」に参加しています。

オープニングセッションの教育講演1にて、コメンテーターを務めました。

座長はいつもお世話になっている讃岐美智義先生。テーマは、

「自動麻酔記録支援システムmirrelの過去・現在・未来と開発秘話」。


ご講演は、開発元のフクダ電子株式会社・堀内さん(SE)と、臨床現場を担う獨協医科大学・寺島先生(麻酔科医)のお二人。まさにシステムと現場、それぞれの視点から語られる貴重な時間でした。

 

 

mirrelはどこまで進化しているのか?

生体情報の自動取得や投薬記録の支援にとどまらず、いまや「特定行為研修修了看護師」が行う処置の記録管理にも対応。日本麻酔科学会が示した「安全管理指針」に基づいての実装です。

 

讃岐先生からは、

「これは、麻酔科医がこれまで“当然のように”やってきた業務を見直す契機になる」

という興味深いコメントも。

 

私の気付き:記録が「価値」に変わるとき

私からは、看護師からの実際の反応について尋ねました。

記録が複雑になる印象がある中で、現場ではどう受け止められているのか。

すると、寺島先生からは「むしろ明確なログを残せる点で前向きな評価も多い」とのこと。

このようなログが蓄積されれば、いずれ“ビッグデータ”としての価値を持つ。

麻酔科医や看護師が行っている数多くの「当たり前の行為」が、記録として可視化され、今後新しい知見やガイドラインづくりの資源になっていく——

そんな未来を想像しながらコメントしました。

 

讃岐先生も、

「まさに新たな切り口。これは面白い」

と締めくくってくださいました。

 

おわりに

医療現場の“記録”が、「未来の医療を変える資源」になっていく。

そんな可能性を感じたセッションでした。

やはり現場の声と技術の対話こそが、進化の原動力ですね。

開発秘話を語る堀内さんの情熱と、現場のリアルを伝える寺島先生の言葉から、多くの学びを得ました。