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ペインクリニック・麻酔科医師の朝のつぶやき

【学生たちと向き合うペインクリニック外来】

 

— 痛みの診療を“現場”で学ぶということ —

 


1. 医学生がやってくる日常のひとコマ

ペインクリニック外来には、クリニカルクラークシップの学生が実習(見学)に訪れます。今日も、「痛みの診療を知りたい」とコメントしてくれた学生が来てくれました。将来の専門はまだ未定とのことでしたが(むしろ他診療科?)、「少しでも現場で感じたい」との意気込みが嬉しく、私も自然と力が入ります。
こうした若い世代と向き合う場面が、日々の診療に新しい風を吹き込んでくれるのを感じます。


2. 外来で感じる“痛み”の重みと多様性

私たちが向き合っているのは、慢性疼痛、術後術後、神経障害性疼痛、がん性疼痛、四肢運動器系の痛みなど、多種多様な患者さんたちです。初めは「何が行われているのかよく分からなかった」と話していた学生も、次第に問診や説明のやり取りを通して、痛みが単なる症状ではなく、患者さんの生活や心に深く関わるものであることに気づいていきます。
これから地域での医療を考えるとき、こうした痛み診療の重要性はますます高まると感じています。


3. 診療の合間に交わす、もう一つの“対話”

診察の合間には、できる限り学生と対話の時間を持つようにしています。「なぜこのタイミングで神経ブロック?」「薬物治療とのバランスは?」「がん患者さんへの言葉選びは?」。多くの質問が飛び交う中で、学生自身が自分の視点や価値観に気づく姿を見るのは、教育者としての大きなやりがいです。
例えば臨床医療において、より固有な場で診療を行うような機会を得たとしても、こうした教育的な時間は引き続き大切にしたいと感じました。


4. “痛み”に向き合える医療者を育てたい

痛みはあらゆる診療科にまたがるテーマであり、特定の専門医だけの問題ではありません。だからこそ、学生時代に一度でも痛みに真剣に向き合う現場を体験してほしいと願っています。学生との会話に詰まったあと、学生自身の趣味や志向、日々のサークル活動などの話を聞くことがあります。そういうときは私自身のことも(キャリアも含めて)語るようにしています。私のキャリア話を聞いているとき、それはすでに医療に関わる場面に出会っていることに気づく瞬間です。
日々の診療と教育の中で、「この人の痛みに寄り添える医療者を増やしたい」という思いはますます強くなっています。これからの自分自身の医師としての歩みの中でも、そうした場を作っていけたら——そんなふうに考える日々です。