ARDSとステロイド療法に関する文献がありましたのでお送りします。
出典は『INTENSIVIST』という集中治療関連のレビュー誌です。
P.82〜P.83の所に大まかなステロイド療法の過去のレビューが示されてあります。大きく分けて、
①ARDS発症予防のための大量ステロイド療法
②発症早期のARDSに対する高用量の短期投与
③持続するARDSに対する中等量の長期投与
④ARDS発症早期からの少量持続投与
にわかれており、エビデンスに乏しいのが実際です。
当施設でのステロイド療法に関しては④のみ。敗血症性ショックの循環不全離脱目的に対してのみ状況を見て行っています。
ARDSでの呼吸不全による死亡率は20%程度と聞きます。多臓器不全や敗血症が原因で亡くなることが多いというのが実情にようです。しかし完全なる集中治療で臓器障害への進行を食い止めることができても、最終的に肺だけがもたなかったということにも遭遇します。結局は感染巣のソースコントロールができていなかったことによるものだと思いますが、その状態でのステロイド投与が治療効果として難しいのは止むをえません。
長期投与の弊害である筋肉傷害、廃用変化も長い目で見れば非常に予後を悪くします。それでも最終手段としてステロイド投与は行う時が多々あります。③の中等量投与なども全く否定されているわけではありません。
治療は非常に困難です。それだけ感染敗血症を機とするARDSの恐ろしさはすさまじいものです。
INTENSIVIST Vol.1 No.1 2009(特集:ARDS)
- 作者: 藤谷茂樹,讃井將満,林淑朗
- 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
- 発売日: 2009/01/10
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