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麻酔科医師の研究日誌

『集中治療に必要な循環モニタリング』 (松田直之先生)

In 名古屋 ①(2010/12/11)

・集中治療医はまだまだ少ない、個を読み取る集中治療革命を展開していきたい。
・カテコラミンの使用と免疫力低下、カテコラミン副作用を起こさないための予防戦略。
・ショックとは何か、顕微鏡レベルでのショック時の変化は。右心房、肺静脈は炎症性受容体を多く持ち、炎症時にとてもむくみやすい。肺血症時の右心房はスカスカ、キックできない→不整脈の原因となる。
・虚血により転写因子の活性化→活性酸素種の起こる。
・循環系を司る『前負荷』『後負荷』『拘束力』『心収縮性』の役割。SIRSでは後負荷の低下が起こり、心筋収縮性も低下する(心拍出量は増加するが、心臓単体では収縮能は低下)。
・各モニタリングの説明。パルスオキシメータ、Aライン、CVP、PAP。頸静脈派パターンとしてCVPの解説。全身性炎症では三尖弁閉鎖不全症状が発生し(Y谷急峻化、高V波)、AFの予測となりうる。夜間当直時に圧モニターを食らいついて観察しよう。
・循環作動薬(主にカテコラミン)の考え方。漫然たるDOA投与は悪である。ほんの少し体血圧を維持したいのであれば少量のノルエピネフリンが理にかなっている。
DOA、DOBのは体内の細菌類も活性化してしまう。高濃度カテコラミンはバイオフィルム形成を促進させる【Lyte M,et al/Lancet.2003】。

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非常に熱烈な講演でした。いつも『個を読み取る集中治療』 『オーダーメイドの集中治療』を強調されています。確かに集中治療領域でエビデンスの確率は難しい。個人的にはモニターに食いついてCVPを観察し、波形の変化やAFに移行するときのタイミングなどを見つけるとの内容に感銘を受けました。またカテコラミン類の使用に関して、改めて確認することができました。