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麻酔科医師の研究日誌

救急患者の初期管理

例えば外来から救急患者が搬入されてきたとします。ERでは瞬時に患者さんの全身把握および評価、診断、初期加療を行います。

そして初療後は集中治療室に移り、急性期、亜急性期の管理目標設定と治療実施を直ぐに開始する必要に迫られます。

集中治療とは文字通り全身管理科ですから、
①脳
②呼吸
③循環
④肝・消化管
⑤腎
⑥血液・凝固
⑦感染
⑧栄養
⑨内分泌
⑩その他…
と瞬時に系統だった評価と治療を頭に思い描きます。

しかしこの緊急入室というもの、実際は簡単ではありません。特に我々集中治療医は、患者状態の把握はもちろんのこと、患者家族の対応、手術などの今後の治療方針(他科との対応)、投薬の指示、看護師・MEらのスタッフとの治療確認、等々、多人数の中心に立ってイニシアチブをとらなければなりません。

その時には1人がその中心をメインで担当して行うわけですが、これは日々修練です。私自身もこの時は気が引き締まります。簡単にできる訳ではない業務を、徐々に後輩にも努めさせるべくヤキモキしながら教えたりもしています。当然、患者さんの状態を第一に考えながらです。

『緊急入室時のICUスタッフマニュアル』や『入室時チェックシート』みたいなものがあってもよいのでしょうか。しかしなんでもマニュアル化するのは考えものですし、実際のところ緊急時にそのような悠長な時間はありません。

細かいところまで気が行き届くように、もれがないように、そして第一に患者さんが不利益を被ることがないように、スタッフ全員がレベルアップしていけるような環境づくりを心掛けています。