麻酔科医『朝活ドクター』 の 研究日誌

~ ドクターズライフハック研究日誌 ~

「あなたが輝く働き方 〜ワークライフバランス〜」

ワークライフバランスについての講演会に参加しました。

ので、備忘録として記しておきます。

言葉だけが一人歩きし、「なんだ仕事が嫌になったのか・・・」という印象を受けかねないこの言葉ですが、実は日本社会のいきのこりをかける大きな問題であると気づきました。

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ワークライフバランスとは

日本で議論になるワークライフバランスは、女性の出産・育児と仕事のキャリアという論点から始まりました。しかしこれは、ワークファミリー(仕事と家庭)バランスといって対象が育児・介護者に限定されるものです。本当の意味でのワークライフバランスの対象者は上記を含めた全従業員です。

家庭の都合のための休暇を取得し時短勤務を行うワークファミリーバランスを推し進めると、対象者は肩身が狭くなり仕事のやる気をなくしてしまい、仕事復帰の際もモチベーションがあがりません。また、ワークファミリーバランスの恩恵を受けれない同僚スタッフも、「なぜ自分だけ働き続けなければならないのだろう」と、仕事の意欲が落ちることがわかっています。

つまりワークライフバランスの推進は、何もない人(全従業員)にもしっかりとしたライフとのバランスをとってもらい、例えば残業を減らす努力をすることなどで、自分の時間を有意義に過ごしてもらい、個人の仕事以外のコミュニティへの参加などで学びの力が増えるようなライフの質向上を行うことで、全人的に国民が成長するような働く意識の改革なのです。

 

人口ボーナス期と人口オーナス期

日本の抱える問題は、世界の各国も経験してきた人口比率の変化の問題に一致します。私自身は初耳で目にウロコでしたが、人口ボーナス期と人口オーナス期という概念です。ハーバード大学のデービットブルーム教授が1998年に提唱しました。人口ボーナス期とは若者が多く老年が少ない、何もなくても人口構造が経済にプラスになる時期です。日本の高度経済成長期がここにあたります。この時期の働き方は、重工業の比率が高いため重労働に適した男性がなるべく働く、早く安く大量が求められるため可能な限り長時間働く、市場ニーズに合った均一価値を提供するためになるべく同じ条件の人を揃える、といった条件がマッチしこれまでの戦後の日本が戦力的に大きく成功してきました。

人口オーナス期とは人口構造が経済の重荷になる時期で、日本では2000年ごろから突入したと言われます。この時期の働き方には、労働力が限られてくるためになるべく男女ともに働く、時間あたりの生産性を上げるようなるべく短時間で働く、均一な価値に飽きてきた市場に対し常に違う価値でなるべく違う条件の人を揃える、といった条件で求められるようになります。準備し提供する手法そのものが変わってきているのです。企業側と社員側の立場が逆転するようなこの人口構造の転換と人口オーナス期への移行は、小室先生のお話では、経済社会での実感で、2014年頃ではないかとのことでした。この頃に、アベノミクス、牛丼チェーン店のスト問題、オリンピック受注で人がいない、と、企業とスタッフの立場の逆転による出来事が社会問題化しました。

 

働き方の改革

すでに女性活躍推進法などで、制度としての働き方の見える化は始まっています。

この中で業界的に働き方の改革が弱そうだと感じるのは、我々の学校教育と医療現場ではないかと思いました。大学病院というさらに特殊な環境ですが、はっきりいって閉鎖的で特殊なこの状況にそのまま当てはめることがいいことなのかどうかわかりませんが、これまでの手法で残り続くけることが難しくなっていることは感じています。今の日本の経済資本の貯金は間違いなく人口ボーナス期における戦後数十年の働き方の賜物であり、世界に類を見ない経済成長を遂げた結果となりました。この時期の働き方を否定することなく、人口構造・経済背景の変わり目を判断した新しい世代へのワークライフバランスを基とした労働環境を考えていかなければならないと考えました。

今の20代〜30代やそれよりも若い世代はこれまでの働き方では生き抜くことができません。我々(私はその上の世代・・・)はこのままの働き方で生涯を逃げ切るかもしれません。それは人口統計と過去の世界各国のデータが示しています。

「大学を出ても働きたくない」

「出産したら仕事を辞めます」

親世代の働き方に傷ついていた大学生・新卒者のコメントが印象的でした。

 

医療現場で成り立つのか

さて、今、私たちにできることは何か、人口ボーナス山から人口ボーナス山への転換です。多くの企業がすでに生き残りをかけて取り組みを始めています。どのような手法が最適かという核心には今回は触れません。

我々の医療現場では、働き手である新卒医師がとても減っているわけではありません。また現場の人手不足は永遠のテーマです。永遠のテーマが解消されていないのも問題と思います。

では今後はどうか。働き方改革と合わせ、昨今の研修医制度や専門医制度など新たな改革は始まっています。それと相まって、実際のところ現場の担い手であるまず若い医師について。すんなりと各診療科へと進む医師はやはり減っているかもしれません。それは、進路の多様化で、国外で医療をする医師、医業に携わらない医師、卒後すぐに特殊な専門分野を志す医師、これまで矢面に出なかった過疎地域への早期の派遣、などでこれまでのキャリアに乗る新卒医師は明らかに減っています。

また、人口統計上、ここから数年、いやしばらくは受医療者の数は莫大化します。

少し考え方を変えていかなければならないのかと思います。そして考え方のみならず、取り組み方も変えていかなければなりません。担い手である医療スタッフが疲弊せず、医療全体そして医学全体が不利益を被らない働き方概念を。

そのためにはまず、日本の労働環境と現状を知ることかと思い、今回勉強したことを備忘録として載せることとしました。

 

これから

講演会には知っている面々も参加していました。どの分野でも、この日本(にっぽん)の社会現場では急務なのだという実感でした。

具体的に何ができるのかはわかりません。しかし自分がどう感じるのか、どれがいいのかというのを常に考えておかなければならないと思っています。

久しぶりの投稿で、ながながとした文章でしたが朝の時間を使って書きました。お読みいただきまことにありがとうございました。最後に、紹介されていた著書を2冊記して締めようと思います。

 

小室先生、どうもありがとうございました。

 

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LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

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