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麻酔科医師の研究日誌

手術のときに実施する、『麻酔』。大きく分けて、『全身麻酔』と『局所麻酔』へ分類。

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以前、私が書きましたとあるページの文章。

自己引用です。かなり反響がありましたので、こちらでも紹介させていただきます。


麻酔って奥が深いですね。



【以下、本文】 


麻酔、麻酔、ってよく耳にします。

 

外来で患者さんに説明するときも、実際にはこちらの説明をうまく伝えきれていないことが多々あります。

 

それは、麻酔には非常にたくさんの種類があり、まずそこのところを整理できてないまま話を聞いてしまうからだと考えます。

 

手術室でわれわれが担当するのは、主に『全身麻酔』というものです。

 

全身麻酔では、患者さんは完全に眠ってしまい、ちょっとやそっとで目を覚ますことはありません。

 

一方、よく経験するのが、歯医者さんで抜歯などの歯科処置の際に行う麻酔、、、これは局所麻酔と言われるものです。

厳密には、局所麻酔のうちの浸潤麻酔に該当します。

 

つまり、一般に医療で行われている『麻酔』には、大きく分けて、

全身麻酔と、

②局所麻酔が、

存在するのです。(もっと細かく分類する方法もあります)

 

手術で麻酔科医が担当する全身麻酔では、例えば、大きな腹部の手術や、心臓の手術、脳神経外科の手術など、非常に強い刺激(手術侵襲といいます)にも耐えうるほど、強いお薬を全身投与して、眠った状態を維持するのです。

そして、お薬の投与方法には、点滴で血管(静脈)内に投与する静脈麻酔法と、呼吸の吸入気体の中に混ぜて吸わせる吸入麻酔法とがあります。

これらの薬剤を、最終的に脳細胞へ伝わらせることによって、眠った状態を作り出すのですね。

 

一方、局所麻酔では、メスが入る体の一部分に、局所麻酔剤を染みこませることによって、痺れた(シビレタ)状態を作り出します。

そして、”痛み”という刺激が、患者さんの脳へ伝わらないままに、その局部の手術を終わらせることができるようにするための麻酔方法になります。

なので、基本的に局所麻酔のみの手術では、目が覚めた状態で手術が経過することになります。

 

この他にも、『鎮静』や『鎮痛』、『筋弛緩』、『迷妄(めいもう)麻酔』、『硬膜外麻酔』、『腰椎麻酔』、『神経ブロック』などなど。麻酔に関わる処置の方法にはいろいろな言葉があります。

 

簡単に説明することは難しいのですが、麻酔の分類には大きく分けて『全身麻酔』と『局所麻酔』があるのだということを、そしてこれらは全く別物であるのだということを、まず頭に入れておくとよいと思います。