麻酔科医『朝活ドクター』 の 研究日誌

~ ドクターズライフハック研究日誌 ~

組織マネジメントについて考え始めたときに出会った本-『組織を強くする技術の伝え方』



業務歴も10年となり現場にも後輩が多数育ってきて組織について考えなくてはならない立場になって来ました。

もともと医療現場とは専門職人の集団であり、技術に関して受け継がれるものは一家直伝、見て学び経験して習得することがすべてのような風習がありました。

しかし大学病院などで他職種の集団の中心に立ち、また学生や研修医、多くの他科スタッフやコメディカルに囲まれ、また同じ技を意とする先輩後輩と共に過ごした場合組織マネジメントは他の職種と同様、非常に重要なものとなっています。
また昨今の情報化社会では、『情報』だけにとどまらず『技』の伝達も多様となってきました。

私たち技術者の場合、『技』は基本的には自分自身で取得していくものと考えています。




医学の分野では、患者個々人に割り当てれる医師の数はそう多くはありません。指導医、オーベン、レジデント、研修医の4段階での体制ぐらいが一番スムーズに行くのではないでしょうか。

医局が大きくなり人が増えれば増えるほど、それぞれは個性と専門性を出さなければその存在価値が見い出せ無くなります。
そして小講座制や専門診療、臓器別担当と分類されていくのです。


入局したての新人や研修医にはわかりにくいと思いますが、大学病院というものが臨床・教育・研究という分野を担っていて、そのどれもを現場のスタッフに要求しているという事実が、この医師集団の組織マネジメントをややこしくしているのです。




●臨床 ⇒ 一家直伝、屋根瓦教育で、上から下へと引き継がれていくシステム。

●教育 ⇒ スタッフ全員で力を合わせて医学生を中心に人材育成を取り組んでいく。単純に医学の知識を教えていく

●研究 ⇒ 研究とはコレまでにわかっていなかった事を解明していく作業です。個人が独自単独で行うものです。



どうでしょうか。臨床・教育・研究を同組織内で完結してしまうことじた無理な話なのです。
例えば組織の中で、今現在起こっている事象や取り組まれている課題が臨床についてなのか、教育なのか、研究なのか、考えてみてください(ほとんどが臨床であるとはおもいますが・・・)。



若手A先生と上司B先生がいたとします。

A先生が自分は臨床業務であると思って困難な症例に立ち向かっているとき、なかなか手伝ってくれない上司のB先生から見れば、実はその取り組みが医学的研究であったりするかもしれません。

A先生は教えを請いたいのに、B先生は医学的に興味あって研究としての自分一人だけで完結する別仕事として取り組んでいます。

よく見る光景です。どちらも必死であり間違いではありません、



前置きが長くなりましたが、今日の一冊です。


組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)



著者は機械工学出身の畑村洋太郎先生。
『失敗学』『技術伝達』の研究で有名な方です。


この中で最も感じたこと。
組織をマネジメントする側の人材は、技術を伝えるためや技術を残していくため、組織を取り持つために、組織の置かれている立場やモチベーション、存在意義を細かく噛み砕いて説明していく必要があるということです。

組織マネジメントの鉄則です。

特に後輩から見た場合、自分が置かれている現状や上司の通ってきた道は俯瞰することができません。

なぜ今この仕事をしているのか?
なぜ自分はこの立場にいるのか?
自分の役割りはなんなのか?
上司と自分の関係はなんなのか?

これをマネジメントする側の立場がしっかりと教えて伝えてあげなければ、組織の中は疑心暗鬼になるばかりです。

うまく伝わるはずのものも伝わりません。




医局員を多数抱えた中央組織部門である麻酔科集中治療室というとても特殊な部門の真ん中辺りに立場しています。

医者の主義主張は重要ですがはワガママも多いです。
みな自分一人で生きていると思っていますがそう甘くはありません。

どの職種でもおんなじです。
個人的な話ですが、この1年は組織についても考えていきます。
下(後輩)をよく観察し面倒を見て、業務に関しては前を向いて進んでいくことだと思っています。
あとはコミュニケーション能力ですかね。

読了した書籍についてもどんどん紹介していこうかと思います。



組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)