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麻酔科医師の研究日誌

人事部は見ている。/楠木 新/日経プレミアシリーズ

私は医局人事に携わっている立場ではありません。

しかし経験年数もある程度、人事を受ける方から人事を考える方へと移り変わってきています。

日本にある数多くの企業の人事事情を勉強すると主に、重役社員と新米社員に特する大学医局というものの人事を考えることが時にあります。


それでもライン職への登用を中心とした人事制度や運用が残ってきたのは、企業も社員もみな成長志向、上昇志向を持って仕事に取り組むという高度成長期以来の「前提」が継続してあったからだろう。
ただし、成長から成熟の時代を迎え、こうした前提は徐々に崩れ、「出世」を中心としたマネジメントが力を持たなくなってきた。社員の側も給与や役職のアップばかりを目的とするのではなく、自らの「働く意味」を追求するケースが増えてきた。

時代は成熟期をむかえ、人々の職に対する考え方が変化してきています。医師の領域はどこもかしこも人手不足で、これは生来変わったものではありません。しかし社会の流れが成熟期へ突入してきている以上、周りを取り巻く就業状況も変化していると考えざるを得ません。

スマホ新人と言われるソーシャルネットワークに真髄した若手が増えました。

彼らは必ずしも出世という希望を持っていません。
しかし給料は欲しがり、自由も欲しがる。

新研修医制度による医師の流動化で就職者の立場の多様化が進み、自由とわがままの区別できなくなってきました。

これで良いのでしょうか。

多くの先輩や後輩に囲まれ、医局のような大所帯の中で苦しさと喜びを経験してみる。そして若いうちは先輩の技を盗み、さらなる大きなものを目指して自分を磨いてみる。いいことです。

時間はかかるものの、努力を惜しまない。
苦しい選択肢があれば、あえて苦しい方を選択する。
この人ぞ!と思える先輩がいたら、自分が越せるものを手にするまで必死についていく。

どちらが良いか、人それぞれなので答えは出せません。

しかしどちらが知的でたくさんの情報の波に乗った生活をおくれるか。答えは明らかです。

ここに気付けるものと、気付かずそのまますすむものの二極化が進むと予想します。



教える側も選ばれる時代に入って来ました。
教わる人は、振り返えれば誰もが教える立場です。

屋根瓦教育では生き方は常に繰り返しなのです。

人事考課は、かなり細かいところまで見ています。



会社は3つのタイプの社員によって構成されるようになる。

① 高機能で専門性の高いプロ集団(専門社員)
② プロ集団を支えるルーティンの仕事をこなす比較的低コストの社員(支援社員)
③ 経営者と一体となって組織を機能させる中核社員(コア社員)


まさしくそのとおりだと思います。
それに見合った教育も必要なのかもしれません。

それぞれがみな自分が目指す立場をしっかりと見据えていなければなりません。

しかし、この職業を始めた限りにおいては、若いうちから決めてしまうこともどうかと考えます。

少なくとも患者さん・後輩たちは、①②③すべてを備えた先輩医師の姿を期待しているのです。



人事部は見ている。 (日経プレミアシリーズ)

人事部は見ている。 (日経プレミアシリーズ)