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麻酔科医師の研究日誌

OSCE救急処置

医学科学生(病院実習前)相手にOSCE救急処置を指導しました。

成人への心肺蘇生法(病院前で目の前で50歳ぐらいの女性が目の前で倒れたという想定です)、AED・除細動まで行う設定です。

A.安全の確認
B.反応の確認
C.応援や資器材の依頼
D.気道確保および呼吸と脈拍の確認
E.人工呼吸
F.胸骨圧迫
G.AEDの操作
H.医療者への申し送り

心肺蘇生法日本版ガイドライン2005(G2005)からG2010へ改訂され、D.の『脈拍の確認』が必須ではなくなりました。同時にE.『人工呼吸』の前にF.『胸骨圧迫』から開始されることになりました。キーワードは絶え間ない胸骨圧迫です。

学生の皆さんは非常によく勉強されていて、我々の頃にはなかったこのような実地重視の学習が重要視されていることに深く感銘しました。大事です。そしてひとつひとつの手技にはぎこちなさが残るものの、そこは目標でなく救急蘇生の一連の流れを系統だって学ぶことに意義があります。

学生さんの中には、完璧にこなしてさらに質問をしてくる人、只々汗をかいて一生懸命な人、完全に舞い上がってパッドを逆の位置に張ってしまう人…さまざまでした。繰り返しますがキーワードは絶え間ない胸骨圧迫です。

本日うまくいかなかった人もいるとは思いますが、何事も練習の繰り返しであり、摸擬実習でうまくいかなければ実際の現場でうまくいくはずがありません。そしてそれは患者さんの生命に直結することになります。現場では気の利いたフェイスイールドや清潔手袋もありませんし、周囲の安全確認も容易ではありません。アレンジ、応用力、スピードが試されます。
さらに医師であれば周囲の者への的確な指示も要求されます。是非ともみなさんが現場に出て共に働けるように鍛えあがってくることを期待しています。臨床実習でさらに経験を積んでください。

OSCEではその他にも、医療面接や内科診察、外科的小処置、なども行われました。気付いた時には4時間が経過、熱のこもった実地を終えることができました。