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麻酔科医師の研究日誌

成人重症患者の栄養療法ガイドライン(2009 SCCM / A.S.P.E.N)

おはようございます。『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』、3日目になります。


今日は重症患者の栄養療法に関して勉強しましたので、エビデンスレベルの高いものからピックアップして、確認したいと思います。


エビデンスレベル
【Grade A】 (少なくとも2つ以上の大規模ランダム化試験)
【Grade B】 (1つの大規模ランダム化試験)



〔経腸栄養の開始〕
-栄養療法が必要な重症患者においては、静脈栄養(PN)より経腸栄養が望ましい。 【Grade B】

-ICU患者において経腸栄養を開始する際は、腸蠕動音や放屁、便通の有無の確認を必要としない。 【Grade B】



〔経腸栄養に対する適切な認容性モニタリング〕
-胃内残留物が500mL未満で、他に経腸栄養が困難な理由がなければ、経腸栄養を中断しない。 【Grade B】



〔経腸栄養剤の選択〕
-免疫調整経腸栄養剤(アルギニン、グルタミン、核酸、ω-3系不飽和脂肪酸、抗酸化物質を添加した製剤)は、以下の適切な患者群に使用する。
  ・待機的手術
  ・外傷
  ・熱傷
  ・頭頚部がん
  ・重症の人工呼吸器装着患者
なお、重症敗血症に使用する場合は危険な場合があるので注意しなければならない。

外科系ICU患者への推奨度:【Grade A】
内科系ICU患者への推奨度:【Grade B】

-免疫調整経腸栄養剤の適応を満たさないICU患者群では、標準の栄養剤を使用する。 【Grade B】

-ARDS(急性呼吸窮迫症候群)やALI(急性肺障害)の患者に、抗炎症脂質(ω-3魚油、ボラージ油)や抗酸化作用を有する経腸栄養剤を投与する。 【Grade A】



〔補助療法〕
-特殊栄養療法を受けているすべての重症患者においては、抗酸化ビタミンと微量元素(特にセレン)を併用投与する。 【Grade B】

-熱傷、外傷およびICU患者においては、経腸栄養剤にグルタミンが含まれていない場合、グルタミンを加えることを考慮する。 【Grade B】



〔急性膵炎〕
-軽症から中等症の急性膵炎患者に対しては、予期しない合併症が発症するか、7日以内に経口摂取を開始できない場合を除き、栄養療法は必要ない。 【Grade B】





以上です。確立したものはまだまだ少なく、細かい事象については見えてこないのが現状です。特に集中治療室の最も重症な患者に絞って考えた場合、強いエビデンスとして存在する項目はほぼありません。しかし栄養療法が重要であることは誰もが承知しており、介入すべき重要課題のひとつであります。